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【モコモコ道】魔王との晩餐会(2)

「それじゃあ、次は私の方から質問させてくれ。
 シュート、その武器はどこで手に入れたんだ?」
「これか? これは神様から受け取ったものだ」
「神様?」
「ああ、全知全能の神ミライ様だ」
「ミ、ミライ!?
 神様の名前が、ミライ、なのか・・・・・」

魔王さんは驚いている。

「ミライ様を知っているのか?」
「あ、ああ・・・・・、なんというか・・・・・、
 それ、私の娘だぞ」
「ええ!」
「ミ、ミライ様が魔王の娘!?」

2人は驚いている。
私もビックリだ。

「3000年も立っているからもう死んでいると思っていたが
 そうか・・・・・、まさか神様になっているとはな。
 それで、ミライ以外に神様はいるのか?」
「いや、神様はミライ様だけだ。
 他に神様がいるだなんて話は聞いたことが無い。
 ・・・・・いるのか?」
「いる、はずなんだがな~・・・・・」

魔王さんは曖昧な表現をする。

「ミライにあったということは、
 どこにいるのか知っているということだな?」
「ああ」
「そうか・・・・・、なら会いに行くとしよう」

そういう魔王さんの表情は、なんだか暗く曇っていた。
自分の娘に会いに行くというのに?

「それで、その剣の名前は聞いているか?」
「勇者ムスイの剣だ」
「フフ、勇者か」

魔王さんが笑っている。

「そうか、勇者にされてしまっていたか」
「違うのか?」
「それは私の剣なんだよ」
「え? 魔王の剣?」
「ああ、私の名前がムスイというんだ。
 私の剣だから『ムスイの剣』というのが正式名だ」
「そうだったのか」

「そして、モコモコ」
「え? 私?」

急に私に話しをふられた。

「モコモコが持っているその弓も神様から受け取ったんだろう?」
「はい、そうです」
「その弓の名前は何と言っていた?」
「『聖女の弓』だそうです」
「そうか・・・・・、まぁ、混乱するだろうからそう言ったんだろう。
 その弓の本当の名は『モコモコの弓』というんだよ」
「私と同じ名前なんですか?」
「ああ、偶然にもね」

そう言って目を細める魔王さん。
本当に・・・・・偶然なんだろうか?

「ねえねえ、魔王さん、何でも知ってるようだけど」
「何でもってわけでは無いけどね」

サクヤちゃんが魔王さんに質問する。

「シュートとモコモコちゃんは武器を貰えたのに
 私だけもらえなかったんだよ。なんでかな?」
「杖はあったんだが、木でできているからな。
 3000年も前のものだし、木は持たなかったんだろう」
「そんな~・・・・・」

魔王さんは笑った。

「だけど、サクヤ、私から見れば一番お前が衝撃的だったぞ」
「ええ? 何が?」
「お前、歳幾つだ?」
「18歳だけど」
「そうか・・・・・、お前は18歳で身長が伸びるタイプだったんだな」
「ええ!!」
「17歳まではこんなに小さかったじゃないか」

そう言って、魔王さんは1年前のサクヤちゃんの身長を手で表現する。
・・・・・あってる。

「なんで! なんで1年前の私の身長を知っているの!」
「魔王は何でも知っているものなんだよ」
「ええ~!」
「それに、お前は女だったのか」
「どういう意味よ!」
「私はずっと男だと思ってたぞ」
「どういうこと!? 身長が低くても私は女にしか見えないでしょう!」
「いや、胸が全くなかったからな~」
「なんでそんなことまで知ってるのー!」
「ハハハ!」

こうして、魔王ムスイさんとの不思議な晩餐会は
夜遅くまで続いた。

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