■魔王との会話
女神は魔王がいる天元へと戻ってきた。
「それで、どうしてムスイさんはこのようなことに？」
魔王は答える。
「それはムスイがこの世界の神だからだろうな」
「神だから赤ん坊に戻る、ということですか？」
「神と世界は一心同体だ。
神の死は世界の終わりを意味する。
だからこそ、世界は神の死を認めない。
世界は神を守るため、神が産まれた時まで時間を戻したんだ」
「それはムスイさんが死なずに済むということですか？ 良かったですね」
「いや、そうでもない」
「え？」
「実は、ムスイが死んだのは病気ではない。寿命だ。
ムスイの肉体は人間でできている。
神の能力を全て受け入れることができずにいる。
その結果として、18歳で寿命を迎えるということだな」
「そうなりますと・・・・・また18歳で死ぬんですか？」
「そうなるな」
「死んだらまた赤ん坊に戻って生き返るんですよね？」
「そうだな」
「んん？？」
女神は混乱している。
「そうなりますと、永遠にムスイさんは
死んで、赤ん坊に戻るを繰り返すことになるのでは？」
「そうなるな」
「どうしてそのようなことにしたのですか？」
「しようと思ってしたのではない。
人間を神にしたのは初めてケースでな。
結果的にそうなったというだけだ」
「そうでしたか・・・・・。ムスイさんも大変ですね」
「ああ。だが、同じ人生を繰り返してもつまらないだろう。
今回は少し趣向を変えてみた。
後はムスイがどう生きていくかを見届けよう」
■魔王様の想定外
・「魔王様はどうなると思ったのですか？」
・「私の知らない別の種類の神となるという考えだった
例えば、そうだな、自分で新たな魔法を開発し、永遠の命を手に入れる
それくらいのことを成し遂げてくれると考えていたんだがな」
・「ムスイさん、魔法を使いませんね」
・「ああ、自分が魔法を使えることも知らないようだ」
・「教えてあげた方がいいのでは？」
・「いや、もう少し様子を見よう。
干渉しすぎては、我々がこの世界の住人になってしまう。
この世界のことは、この世界の者たちが解決すれば良い」
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