■10頭の魔狼
私は魔物が潜むと言われる森に入った。
ここには「魔狼」が多く生息していると聞いている。
魔狼とは1度戦っているためさほど心配はしていない。
とは言っても、普通、魔狼は集団で行動している。
一頭で出現したのはかなり珍しいパターンなのだ。
ここでは集団で襲われることを覚悟しなければいけない。
「・・・・・来たか」
背後に魔狼が現れた。
前方にも、横にも。すでに囲まれている。
なるほど、なかなかに組織戦に優れた魔物のようだ。
だが、もちろん私は策を考えていた。
私は気に駆け上がる用に登る。
そして、高さ6mほどで体を反転させ、
脚で木をはさむこむと、剣を抜き、その場で魔狼を迎え撃つ。
魔狼はジャンプして飛び掛かる。
私から見れば正面からしか来ないため
次々と一刀両断していった。
7頭を倒し、残りは3頭。
私は地面に降りた。
思ったほど脅威では無いと判断したからだ。
魔狼は3頭同時に襲い掛かってきたが
私は瞬時に3頭を斬り倒した。
「まぁ、こんなものか」
私は剣を鞘におさめる。
「・・・・・う」
私は両膝を地面についた。
そして、両手でまたをさする。
「・・・・・痛い。股が痛い。●玉も痛い。」
これを多用すると子孫を残せなくなりそうだ。
私はこの作戦を永遠に封印することにした。
■アンス村、そしてモコモコとの再会!
旅を始めて5日、とうとう私はアンス村へとたどりついた。
私がいなかったため開拓はされていないが・・・・・
いや、若干良い感じに開拓がされているのか?
少し違和感を覚えたが、間違いなくここはアンス村だ。
そうだ、まずはモコモコだ。とにかくモコモコだ。モコモコはどこだ!!
私は村中を探し回った。そして・・・・・いた! モコモコだ!
間違いない! やっと! やっとモコモコの元にたどり着いたぞ!!
モコモコは花畑で裁縫をしていた。
そうだそうだ、ここの花が綺麗に咲いている時は
よく一緒に行こうと誘われたな~。
そして、花に囲まれて裁縫をしていた。
懐かしい光景だ。
私はモコモコに近づく。風で花弁が舞い上がる。
私とモコモコの奇跡的な再会を
世界のすべてが祝福してくれているかのようだった。
「モコモコ・・・・・会いたかった・・・・・会いたかったよ!」
私は涙を流して再会を喜んだ。
しかし、モコモコは目を丸くして驚いている。
「あ、あの・・・・・、あなたは誰ですか?」
モコモコは戸惑っていた。
当然だな。モコモコは私の存在など知らずに生きてきたのだから。
モコモコにしてみれば、私とは初対面と言うことか。
私は涙をぬぐい、モコモコにわかりやすく説明することにした。
「そうだね、今回の生では初対面だからわからないだろうけど、前世で私とモコモコは夫婦だったんだよ。18歳で2人は結婚した。私たちの幸せな未来はこれからだった。しかし、私は病気になってしまった。闘病生活もむなしく、命を落としてしまったんだよ。私が苦しんでいる時、私の手を握って泣きじゃくっていたモコモコの顔を今でもしっかりと覚えているよ。もう永遠の別れだった。そのはずだった。しかし、奇跡が起きたんだ。まるでリセットボタンが押されたかのように、再び人生があたえられたんだよ。どうしてそうなったのか、理由はわからない。だけど、私とモコモコはこうやって再会することができたんだ。まるで運命の赤い糸が私とモコモコを引きつけるかのように・・・・・。私はこの感動を一生忘れない。モコモコ、前世で誓ったように、今世でも私と結婚してくれるよね?」
そう熱弁した。
しかし、モコモコは困惑している。
目の前にいる男が何を言っているのかわからないと言わんばかりに。
脚もガタガタと震えていた。
「あ、あの・・・・・、私、用がありますので・・・・・」
そういってモコモコはその場から走り去ろうとした。
・・・・・が、私は冷静さを失っていた。
モコモコが怯えているのはわかっていたのだが
15年ぶりの再会に情動を抑えきれなかったのだ。
私はモコモコを引き留め、腰に腕を回し、優しく語りかける。
「何の用があるんだい? 私に相談してくれ。
モコモコのためならなんでも力になるよ。」
「ヒ、ヒ~!!」
モコモコは涙目になっていた。
しかし、今の私にはモコモコの全てが愛おしい。
「誰か助けて~!!」
モコモコは私の腕を振りほどくと、断末魔の様な叫び声を上げて逃げ出した。
そして、その悲鳴を聞いて、村人たちが集まってくる。
「どうしたんだ、モコちゃん!」
「おい、お前は誰だ! モコちゃんに何をしている!」
アンス村のみなさんが集まってくる。
「い、いや、違うんです。
私はモコモコに何も危害を与えるようなことはしていません。
皆さんも覚えていないと思いますが、私は前世にこの村で育ち
モコモコと結婚して・・・・・・・」
言うだけ言って、「しまった」と気づいた。
こんなことを言っても通じるはずがない。
私はやっとそのことに気づいた。
「こいつはヤバイな」
「とりあえず、牢屋にぶちこんでおこう」
こうして私は無実の罪で牢屋に入れられてしまった。
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