第1話:鬼退治
人里から少し離れた山奥に、その化け物はいた。
「こ、これが・・・鬼か・・・・・!!!」
目の前にいる「鬼」と呼ばれる巨大な化け物。
ただの物語に登場する空想上の存在だと思っていた。
まさか本当に実在していようとは・・・・・!!!
背丈は人間の2倍はあった。
真っ赤な体、たくましい筋肉。
髪やヒゲは黄金色に輝き、炎がゆらぐかのように波打つ。
頭から生えた角、口から飛び出した牙が人々を恐怖に駆り立てる。
「ぐぅおおおおーーーーー!!!!」
鬼が雄たけびを上げ向かってきた。
棍棒を横に振り回す。
その場にいた3人が鬼の一撃をくらい吹き飛ばされた。
全員、即死だった。
弓部隊が矢を放った。
何本かは刺さったが、鬼の勢いは止まらない。
槍部隊が弓を鬼に向け突き刺した。
肩と太ももに命中。
鬼は槍をへし折り、2人を撲殺した。
犠牲は出たが、鬼の動きは弱まった。
剣豪は間合いを詰める。
「うおおおおおおーーーーー!!!」
鬼の雄たけびに、木や草は波打ち、山は震えた。
剣豪はたじろぐも、負けじと一撃を放つ。
鬼は棍棒で防いだ。
が、本当の狙いは二撃目であった。
次の瞬間、鬼の首が吹き飛んだ。
こうして、人々を苦しめた「鬼」の討伐は終わった。
あれだけ矢と槍を受けてよく戦えたものだ。
剣豪は鬼の首を拾い上げた。
鬼の眼には血の涙が流れていた。
剣豪たちは鬼の死体を寺に持って行った。
坊主たちは鬼の魂を供養し、丁重に葬った。
第2話:打ち上げられた3人
その貿易船は長きにわたって漂流していた。
マストが折れ、潮に流されるだけの状態になってしまっていたのだ。
食料も水も尽きてしまい、みんな飢えていた。
そして、嵐に見舞われた。
船員たちはどうすることもできず、船は沈没してしまった。
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運よく、数人の船員が砂浜に打ち上げられた。
「ルイス」、「ジャック」、「フレディ」だ。
助かったことを3人は喜び合った。
しかし、ここは一体どこなのか?
海から少し離れた場所に村があった。
見たことが無い建物、見たことが無い人種。
言葉が通じるとは思えない。
助けてくれるとは限らない。
むしろ、奴隷にされるか、殺されてしまう可能性の方が高い。
どうすれば自分たちは助かるのかを必死に考えた。
故郷に戻る方法を必死に考えた。
考えて考えて、導き出された答えは「不可能」であった。
おそらく自分たちは永遠に故郷には戻ることができない。
3人は絶望した。
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夜、ルイスは一人、海岸沿いの砂浜を歩いた。
砂浜を歩いていると、妻と一緒に過ごした日々を思い出す。
船に乗る前、ルイスは妻に「必ず生きて帰る」と約束した。
しかし、その約束は果たせそうにない。
妻が自分の無事を祈り渡してくれた「ピンク色の貝殻」。
ルイスはそれを胸に抱き、泣き続けた。
(第2話に続く)
あとがき
「鬼というのは漂流してしまった白人である」という話しをどこかで聞いたことがあります。それをちょっとしたストーリーにしてみようと思ったのが、この話を作ったきっかです。ま~、世の中には似たような話があるかもしれませんけどね。
この作品の主人公は「ルイス」です。ですから、ルイス視点で話は進んでいきます。そして、最初に書いている通り「鬼」が退治されてしまうのは決定事項となります。
ストーリーは結末までだいたい書けていますが、細かいところの修正がまだまだでして。今回公開した内容も、再度読み直して調整するかもしれません。
予定では
◆第1話:09月07日(木)
◆第2話:09月22日(金)の夜
◆第3話:10月06日(金)の夜
◆最終話:10月20日(金)の夜
と公開していく考えです。
第1話、第2話、・・・・と区切っていますが、特に深い意味はありません。話の内容としてもそんなに長くはありません。