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■森で魔狼と遭遇した
私は森の中で「リンゴ」を収穫していた。
今年のリンゴは真ん丸と大きく、そして味もジューシーだ。
「(シャリシャリ、モグモグ)
うんうん、うまうま。今年は豊作だな~」
私は気に登り、リンゴを次々と収穫していった。
よしよし、いい具合に袋に集まったぞ。
さてさて、そろそろ帰るかな。
そう思っていると「魔狼」が現れた。数は1匹。
「グルルルル・・・・・」
距離は20mほど。
私を威嚇しながら、ジリジリと近づいて来る。
私は少し離れたところの木の下に武器を置いていた。
武器の方をチラリとみて、そちらにユックリと移動しようとすると・・・・・
なんと、魔狼はそれを察知したかのように、武器の方へと回り込んだ。
「おお! お前、賢いな・・・・・」
まさかチラッとみただけで、私にとって重要なものだと見抜くとは。
優秀な魔物は嫌いではないぞ~。
私は顎に手をやって、そんなことを考えていた。
魔狼は私の方に攻撃手段が無いと悟ったのか、
眼をギラリと輝かせると、勢いよく私に襲い掛かってきた。
「グオオオ~!!」
魔狼はジャンプして飛びつき、口を大きく開けて私に襲い掛かってくる。
私は一歩後ろにジャンプする。
襲い掛かってきた魔狼の「顎の下」をつかむと、
顎を上にあげ、噛みつき攻撃を回避。
そして、左足を一歩前に踏み出し、右足で魔狼の前脚を出足払いした。
魔狼はクルリと反転し。仰向けに倒れる。
私はそのまま魔狼の上にまたがった。
「すまんな、素手でも勝てるんだよ」
そう言って、右手で押さえつけたまま、左手を振り上げる。
そして、振り下ろそうとしたその時・・・・・私はあることに気づいた。
「お、お前・・・・・」
「ガウガウガウ!!」
魔狼は必死にもがいている。
「よく見ると、可愛いいな」
「ガ、ガウウ??」
私は魔狼をつかんでいた右手を離す。
そして、両手で魔狼の顔をつかみ、じっくりとさわさわしてみた。
うむ、少し毛が硬いが、悪くない触り心地だ。
ほっぺをモフモフしてみる。
ウウム・・・・・愛くるしい表情だ。
なんだ? この胸のトキメキは一体なんなんだ?
も、もしかして・・・・・、
私は、恋をしてしまったのかもしれない。
魔狼は状況を飲み込めず、キョトンとしている。
「・・・・・」
(↑キラキラした眼で魔狼を見つめる私)
「ア、アウゥ~・・・・・」
(↑そんな眼で見ないでと困惑する魔狼)
「!!!!!!!!!!」
私は今までにない魔狼の心の変化を感じ取った。
「そ、そうか! やはりそうか!
お前も私のことを愛しているんだな!!」
「ア、アウウ??(いきなり何を?)」
「実はな、私もお前のことを愛してしまったんだよ!(必死)」
「ア、アウ~!?(何言ってるかわからん:困惑)」
私は嬉しかった。
言葉が通じないとしても、愛で通じ合うことはできるんだ。
これこそ、真実の愛の形ではなかろうか?
「大丈夫、優しくするからな」
そういって、私は魔狼をギュッと抱きしめた。
「ああ~、けしからん! なんというけしからん抱き心地だ~!
たまらん! たまらんぞ~!!(バフバフ)」
「バウウ! バウウ!」
魔狼は抵抗していた。
しかし、私はもう我を失ていた。
「うおお~!! たまらん!!
たまらんが、止まらん~!!(バフバフ、バフバフ)」
「バウウ~!! バウウ~!!」
そう言って、私は魔狼を抱きしめながら、全身でモフモフしながら
地面を右に、左にと、回転しまくった。
魔狼が抵抗しているような気がするが、たぶん気のせいだ。
私はモフモフ、さわさわと、思う存分に魔狼を満喫した。
その時!
指先に何かが当たったことに、私は気づいた。
こ、これは・・・・・。
「お、お前・・・・・」
「アウ~・・・・・(涙)」
「女、だったのか・・・・・」
「アウ~・・・・・」
魔狼は完全服従のポーズをしていた。
「しかも、このオッ●イの膨れ具合からすると、子供を産んだばかりだな・・・・・
そうか、子供に栄養のある乳を与えるために、餌を探していた。
そして、リンゴのいい匂いにフラフラ~っと誘われて、
ここまでやってきてしまった、といったところか」
「アウ~・・・・・」
私は全てを理解した。
私はスッと立ち上がると、先ほど収穫したリンゴの元へ行った。
大きな袋が2つあったが、それを両方担いで、魔狼の元へ。
魔狼はもう私から逃げなかった。
私は2つの袋を着ている服でつないだ。
そして、魔狼の背中にまたぐように担がせた。
「これだけあれば、しばらく食べ物に困ることは無いだろう」
そう言って、私は魔狼の顔を包み込むように抱きしめた。
「いい乳を出して、子供を立派に育てあげるんだぞ。
そして、今度、子供を私に見せに来ておくれ」
「バウ~」
私は魔狼の顔をなでた。
魔狼も顔をスリスリしてくる。
「それじゃ~な。
もう人を襲うんじゃないぞ~」
「バウ~!」
私は両手をぶんぶん振って、魔狼を見送った。
魔狼はリンゴを担ぎ、森の奥へと帰っていった。
その時・・・・・隣の木からモゾモゾと何かが降りてくる気配が。
それはサクヤだった。
木の幹をつたい、モゾモゾと降りてくる。
「よいしょ」
そう言って、サクヤは少し高い所からジャンプして両手両足で地面に着地。
手をパンパンと叩いて土を払い、
そして、私の方を見て、こう言った。
「可愛い魔狼ちゃんだったね。
お父さん、お母さんがいないところで浮気はダメだよ」
う、浮気・・・・・、サクヤは一体何を言いだすのだろうか(汗。
サクヤは無表情で私の方を見ている。
私は嫌な汗が体を伝い流れ始める。
こうして、サクヤによる厳しい尋問タイムが始まった。