「ヒカルの碁」は漫画もアニメも中途半端な終わり方を迎えたような印象です。そこで、作中に「ムスイ」を登場させることでスッキリとした最終回にしようと思います。
【登場人物】
ヒカル、サイ、ムスイ
【場所】
ムスイが除霊をやっているお寺
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囲碁の幽霊「サイ」に取りつかれてしまった進藤ヒカルは頭を抱えていた。囲碁を打たなければ、体調不良がおこるため、嫌でも囲碁を打たざるをえないからだ。
そこで、ヒカルはテレビでも有名な霊媒師「ムスイ」の元に行き、強制的に除霊してもらうことにした。
ムスイ
「除霊してほしいのに、金が無いってどういうことですか?」
ヒカル
「いや、俺小学生だし。何とか頼むよ、おっさん。」
ムスイ
「お、おっさん!? く・・・、腹立つガキだな・・・・・。」
「だが、この幽霊を除霊してしまって本当にいいのかい? 彼はかなりの棋力の持ち主だ。彼の力を使えばプロになれるし、タイトル戦でガッポリ儲けることだってできるはずだよ。」
ヒカル
「儲けるって、どれくらい?」
ムスイ
「年収一億くらいは余裕で行けるだろうね。」
ヒカル
「一億!! やっぱ除霊しなくていいよ!!」
ヒカルは、地位と名誉と金を手に入れ、美女に囲まれた自分の未来を妄想していた。そして、ヨダレを垂らしながら帰ろうとしたのだが・・・・・・・。
サイ
「ま、待ってください!!」
「ムスイさん・・・、あなたは囲碁がかなり強いのではありませんか?」
フッ、やはり幽霊のサイは気づいていたか。
真の囲碁打ちであれば、街中ですれ違っただけでも、相手が囲碁打ちであることに気づくことができる。私ほどの棋力の持ち主であれば、サイが気づかないことの方がおかしいのだ。
ムスイ
「一体いつから気づいていたのですか?」
サイ
「例え世界のどこにいたとしても、あなたの棋力を感じ取れない囲碁打ちはいないでしょう。」
なるほど、どうやらこのサイという幽霊は、私の想像以上に囲碁が打てるようだ。
サイ
「お願いです!! どうか一局ご指導いただけないでしょうか!!」
ムスイ
「わかりました。打ちましょう。」
【対局開始】
サイ
(こ、これは一体・・・・・。まるで「雲をつかめ」と言われているかのようだ・・・・。雲に手が届くはずもなければ、届いてもつかめるはずもない・・・・・。私の思考の全てが不可能だと叫び続けている・・・・・。)
まだ十数手しか進んでいない。それでも、サイはムスイの圧倒的な強さに翻弄され続けていた。
サイ
(私の1000年の囲碁は、囲碁ですらなかった・・・・・。どうして「神の一手」を極めようなどと考えてしまったのか・・・・・。今なら不可能だということがハッキリとわかる・・・・・。この「神の全手」を目の当たりにしてしまっては・・・・・。)
対局は終わった。
サイ
「ありがとうございました。これでもう思い残すことはありません。」
ムスイ
「未練を断ち切ることができましたか。」
サイ
「はい、あなたのおかげです。本当にありがとうございました。」
こうして、サイは成仏することができたのでした。
ヒカル
「・・・・・え? 俺の年収一億、ウハウハ人生は!?」
~~~ 完 ~~~