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■女神に当たり散らすムスイ
死んだムスイは精神体となり、天元にやってきていた。
死んでしまい、落ち込みモードのムスイは膝を抱えうつむいている。
そこへ、女神さまがやってきた。
「ムスイさん、お久しぶりです」
クルリと振り返り、ムスイは女神を見た。
ああ、やっぱり来たね、という表情だった。
「ああ、女神さまですか。お久しぶりですね。
以前あった時は色々と失礼な発言をしてしまいましたね。
申し訳ありませんでしたね」
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(回想)
以前のムスイの失礼な発言
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「い、いえ、私は何も気にしていま・・・・・」
「それでですか?」
「え?」
「あの時、失礼な発言をしたから
私は病気になって死んだんですか?」
「い、いえ、そういうわけでは・・・・・」
「酷いじゃないですか!
確かに私は女神さまに対して失礼な発言をしてしまいましたよ。
しかし、あの時は私も思いがけない状況になってしまっていて
混乱していただけなんですよ。
決して悪気があったわけではないんですよ。
にもかかわらず、私にこのような仕打ちをするだなんて、
あんまりじゃないですか!
私は異世界で初めての結婚をして幸せの絶頂だったんですよ?
人生最高地点の幸せの中にいたんですよ?
にもかかわらず、その後、すぐに死んでしまうだなんて!
死と言うのは人生最悪の出来事なんですよ? わかります?
こいうのを何ていうか知ってますか?
『上げて落とす』というんですよ!
人生最高地点に上げた直後に、人生最低地点へ落としたんですよ!
こんなことやっていいと思ってるんですか!
女神様だったらこんなムゴイことをやってもいいと言うんですか!
こんなの全生命体における最悪の復讐方法じゃないですか!
そんな酷いことを女神であるあなたがやるんですか?
それが神のやり方なんですか?
これが天罰って奴なんですか?
何とか言って下さいよ!」
「け、決してそのようなことは・・・・・」
「そうですよ。私はリアルで22年、異世界で18年生きましたよ。
合わせて40年ですよ。40歳のオッサンですよ!
そんなこてこてのオッサンが
17歳のモコモコ相手にドキドキしちゃうだなんてね~!
女神さまにはさぞ滑稽な光景に映ったことでしょうよ!
確かにモコモコは私から見れば子供みたいなものですよ。
そんな子供に、可憐な少女相手に
いいオッサンがドキドキするだなんて、
女神様にはさもキモい光景に映ったことでしょうよ!
女神さまの『このロ●コンが!』と蔑む声が私の魂にも響いていましたよ!」
「いえ、私はそんな・・・・・」
「嘘をつくのはやめてください!
毎日毎日、私の夢の中に現れたじゃないですか!
夢の中で私を罵倒し続けたじゃないですか!」
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(回想)
「あらあらムスイさん、40歳にもなって幼い少女と結婚する気ですか?
本気ですか? ロ●コンですか? 生きててごめんなさいは?」
ごめんなさい・・・・・、ロリコンでごめんなさい・・・・・
生きててごめんなさい・・・・・、う~ん・・・・・
(↑布団の中でうなされながら女神さまに謝罪するムスイ)
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「しかし、私はそれに耐えてモコモコと結婚したんですよ!
女神さまの言葉を覚えてないふりをして
何事も無かったかのように振る舞って
全てを乗り越えて私はモコモコと結婚したんですよ!
モコモコを誰よりも幸せにすることを誓ったんですよ。
その想いに嘘偽りはなかったんですよ!
それなのに、それなのに~!!」
「お、落ち着いてください、ムスイさん」
「ぐっ・・・・・ううう・・・・・」
ムスイは地面にひれふしながら泣いている。
女神はオロオロしている。
「その・・・・・私も詳しいことは知らないのですが、
色々と事情があるようでして・・・・・」
「事情で私は死んだんですか!
私のモコモコを返してくださいよ~!」
「い、いえ、その・・・・・なんといいますか・・・・・
実はムスイさんは生き返ることができるんです」
「・・・・・・・・・・え? どういうことですか?」
ムスイは「聞く耳持たないモード」から「聞く耳持つモード」に変わった。
「その、私も詳しいことは知らないのですが
ムスイさんは死んでしまいましたが、
赤ちゃんからやり直すことができるそうなんですよ。
ムスイさんが産まれた18年前に時が遡りまして
人生をやり直すことができるんです。
ですから、その、今から生き返って、
またモコモコさんと再会することができるんですよ」
「じ、時間が戻る? 赤ちゃんからやり直せる?
それって・・・・・どういうことですか?」
「その、そういうことなんですよ」
「・・・・・」
「そ、そんなことってありえるんですか?」
「ありえるようです」
「・・・・・」
「実は私もよくわかっていないんです」
「め、女神様でもわからないことってあるんですね・・・・・」
「ええ、実はそうなんです・・・・・」
女神さまは困り果てているという表情だ。
ムスイは少し考えてみたが、考えても何もかもが現状ではわからない。
わからないなりに、前向きに考えるしかないのだ。
「とにかく、18年前に戻って赤ちゃんからやり直せるんですね?」
「そうです」
「そして、またモコモコとで会えるんですよね?」
「そうです」
「よくわかりませんが、わかりました。
モコモコと再会できるのであれば、この際細かいことは気にしません」
「わかっていただけて何よりです。
それでは次の人生も頑張ってください」
そう言って、女神はムスイの方に手をかざした。
ムスイはその場から消え、新たな人生が始まった
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「オギャ~オギャ~」
ムスイは赤ん坊として再び生まれた。