■幼馴染のモコモコと結婚!?
食事の招待を受け、私はモコモコの家に行った。
戸を叩き、扉を開けるとおじいさん、おばあさん、モコモコの3人が出迎えてくれた。
しかし・・・・・モコモコがいつもと違ってよそよそしいような?
テーブルの上には今まで見たことないような豪華な食事が並んでいた。
さすがにビビる。一体何事だろうか!?
「おおお・・・・・、凄い食事ですね」
「さささ、ムスイ君。ここに座ってくれ」
「あ、はい。では。」
何やら丁重にもてなされている。
私を含め4人は席に着く。
そして、料理をいただくことになった。
「ハムハム、ムシャムシャ」
「味はどうかね?」
「メチャクチャ美味しいです、ムシャムシャ」
「そうか、それはよかった」
何やらいつにもまして対応が丁寧だ。
一体何事だろう?
頼みごとにしても豪華すぎるような気がする。
「急に呼び出してすまなかったね」
「いえいえ、でも困ったことがあるならそんな気を遣わなくていいですよ。
なんでもやりますから、気にせずに相談してください」
「いや、まぁ相談と言えば相談なんじゃがな・・・・・」
なんだか歯切れが悪い。
さっきから食事もせずにずっとうつむいているモコモコも気になる。
一体どういうことだろう?
「実は、ムスイ君とモコに関してのことなんじゃが・・・・・」
「(ムシャムシャ)はい、なんでしょう?」
いよいよ本題か?
「ムスイ君とモコは半年もすれば18歳じゃな」
「ま~、それくらいになりますかね」
「そこで、どうじゃろう、ウチのモコを貰ってやってくれんかね?」
「・・・・・え?」
モコモコのおじいさんが何か言いだした。
さすがに私も、最初何を言われたのかわからなかった。
「モ、モラウ・・・・・と、言いますと?」
「もちろん結婚ということじゃ。
モコもムスイ君のことを好いとるようじゃし、どうだろうか?」
大人しくしていたモコモコが「ガタリ!」とイスから立ち上がる。
そして、隣にいるおばあさんの後ろに隠れた。
「モコモコと・・・・・結婚、ですか・・・・・」
「ああ、悪くない話だと思うんじゃが、どうだろうか?」
モコモコは顔を赤らめ、
おばあさんの後ろからチラリ、チラリと私の方を見る。
異世界に転生し、必死に生きてきたが、もう17年もたつのか。
この世界で、自分が結婚をするだなんて、考えたことも無かった。
今、モコモコを前に、私の胸は激しく脈打っていた・・・・・。
■ムスイ17歳、モコモコ家で婚約する
私はモコモコ一家の招待を受けた。
一緒に食事をしたいというのだ。
モコモコ家の料理は美味しいからな~。
私はウキウキ気分でモコモコの家へとやってきた。
「こんにちは~」
私は玄関の引き戸を開ける。
すると、モコモコ、おじいさん、おばあさんの3人が
待ち構えていたかのように、そこにいた。
さすがにビビる。
「おお、よく来てくれたね、ムスイ君。待っていたよ。
ささ、あがってくれ」
「は、はい。お邪魔します~」
そう言って、私は家に入った。
しかし、なんだかモコモコのようすがおかしい。
今日はいつになくよそよそしいような・・・・・。
私は食事が並べられているテーブルへと案内された。
おおお~、めちゃくちゃ豪華な食事だ。
どうして今日に限ってこんなに立派な食事なんだろうか?
私は不思議に思いつつも、美味しくいただくことにした。
「ハムハム、」
そんな時、おじいさんが思いがけないことを言い出した。
「ムスイ君、君も半年もすれば18歳になるね」
「ま~、そうなりますね」
「そろそろ、結婚を考えるころだと思うんだが・・・・・」
「結婚ですか~・・・・・」
今までいっぱいいっぱいの生活を送ってきたため考えもしなかった
とは言っても、なるほど、確かに結婚を意識する年齢ではある。
「そこで、提案なんじゃがな、その・・・・・どうだろう。
ウチのモコを貰ってやってくれんかね?」
「・・・・・え?」
思いがけない話だった。
「モコもムスイ君を好いとるようだし、お似合いだと思うんじゃがな」
私はモコモコをチラリと見る。
モコモコはおばあさんの後ろに隠れた。
そして、チラリ、チラリと私の方を見て、顔を赤らめている。
私はモコモコが小さな幼女だったころから知っている。
近くでウロチョロしているだけの子供だとばかり考えていたが
私とモコモコはもうすぐ18歳になる。
あんなに小さかったモコモコも、今では立派な娘さんということか。
子供の成長とはこんなにもはやいものだったのか。
そんなことを考えていると・・・・・なんだか私も恥ずかしくなってきた。
前の世界では22歳で死んでしまった。
彼女いない歴、年齢だった。
こちらの世界で17年。私は約40年生きてきたことになる。
結婚・・・・・、そう、結婚なのか・・・・・!!
モコモコは私のことを愛してくれているという。
そう考えると、モコモコがなんだか特別な存在であるように感じた。
そして、私は気づく。
(今、わかった・・・・・
神は私とモコモコを結婚させるために
私を異世界に転生させたのだ)
~~~~~~~~~~
天元にて
女神「魔王様?」
魔王「転生させたのは私ではない」
~~~~~~~~~~
何か、何か良い返事をしなければ・・・・・私は必死に考えた。
いや、良いセリフにこだわる必要はない。
ありきたりでいいから、心のこもった返事をすればいいんだ!
しかし、結婚を申し込むありきたりな返事っていったいなんだ?
どうすればこころのこもった返事になるのだ?
いや、できればカッコいいセリフの方がいいのか?
なんかも~、よくわからなくなってきた。
3人の視線が集まっている。
ヤバイ、早く返事をしないと・・・・・。
えとえとえと・・・・・私は混乱し・・・・・こう答えた。
「バ・・・・・バナナはおやつに入るんだスカ~?」
「!!?」(←モコモコ)
「!!?」(←おじいさん)
「!!?」(←おばあさん)
混乱してバカなことを言ってしまった。
3人とも困惑している。
ここから一体どう軌道修正すればいいというのか!?
もうわからん。何もかもがわからん。
私がアタフタしていると、モコモコが答えてくれた。
「ム、ムスイの判断に任せます!」
「え! わ、私の判断に任せてくれるのですか!」
「は、はい!」
私の気持ちは決まった。
「結婚しよう、モコモコ!!」
「は、はい! よろしくお願いします!!」
なんだかよくわからない展開で、私とモコモコの結婚が決まった。
■結婚、そして・・・・・
18歳になり、私とモコモコは結婚した。
村の人たちはみんなでお祝いしてくれた。
私にとって、幸せの絶頂であった。
私の実家の方は鍛冶屋をやっていてちょっとうるさい。
そこで、しばらくはモコモコの家で暮らすことになった。
2人、モコモコの部屋のベットに入る。
お互い向き合い、手を握り合い、顔を赤らめながら話をした。
「ずっと言えなかったから言うよ。 ■■■■愛の言葉■■■
僕は君」
「うん! 幸せになろうね!」
そう言って、お互いギュッと抱きしめあって、スリスリした。
~~~~~~~~~~
しかし、次の日から私の体調は何かおかしくなってきた。
しばらく休めば治るだろうと思っていたが、どんどん悪くなってきているような。
その日の夕方には、私はもう動けなくなっていた。
「ムスイ、街に行って医者を連れてくるから待ってろ!」
「か、金はあるのかい、父さん・・・・・」
「無い! だが、縄で縛ってでも連れてくる!!」
あれほど貯金しろと言ったのに。
「ムスイ・・・・・ムスイ・・・・・」
モコモコがベットの横で泣いている。
私の手を握って。
「だ、大丈夫だよ・・・・・モコモコ・・・・・
すぐに・・・・・よくなるから・・・・・」
「うううう・・・・・」
大丈夫と言ったものの、さすがに私でもわかる。
これは命を奪う病気だと。
私の命はここまでだと。
異世界に転生して色々と頑張ってきたが
ここが私の人生の終着点か・・・・・。
ただ一つ心残りがあるとすれば
モコモコを幸せにすることができなかったということだ。
どうか、どうか、私がいなくなっても幸せな人生を全うしてくれ・・・・・。
こうして私の異世界での生涯は終わった。
享年18歳であった。
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