第10話目次第12話

今日は囲碁のタイトル戦「小宇宙最強決定戦」の決勝戦の日だ。

~~~タイトル戦「小宇宙最強決定戦」とは?~~~~
・参加者全員による総当たり戦
・成績上位者2名が決勝を行う
・決勝の勝者が「初代小宇宙最強」のタイトルを獲得!
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対局者は「村長VSダイゴロウ」。世界中の囲碁愛好家たちが注目する大一番である。

碁盤を前に見つめあう村長とダイゴロウさん。2人のオーラが激しくぶつかり合う。今までの笑顔で語り合う村長とダイゴロウさんはいない。もうあのころの2人に戻ることはできないのだろうか!?

男と男のプライドをかけた対局がいよいよ始まった!!

トコトコトコ
「男は泣いた数だけ強くなる」

サクヤがなんか言って通り過ぎて行った。

そして、結果は!!!
・・・・・ダイゴロウさんの中押し勝ちであった。

「ここに打ったのがいかんかったかの~」
「ここをこう打てばよかったんじゃないでしょうかね~」
「いや、そもそも中盤で打ったあれが・・・・・」

対局前はピリピリしていたので心配だったが、終わってみれば和やかムードだ。ケンカにならずによかった。これならみんなで仲良くやっていけるな。

サクヤが何やら「迷台詞」を言って通過しようとしてきたので、私は口をふさいで通過させた。

● 〇 ● 〇 ● 〇 ● 〇 ● 〇

晩御飯の時間帯、私は碁ワールドの本を読んでノンビリ過ごしている。モコモコは晩御飯の準備をしている。サクヤは・・・・・大の字になってくつろいでいる。

それにしても・・・・・サクヤが気になる。

サクヤは普段「魔法の脚」と「魔法の胸」を取り付け「高身長」と「ナイスバディ」を維持してきた。しかし・・・・・、現在のサクヤは両方とも取り外し、リラックスモードになっているのだ。

「・・・・・サクヤ、脚はどうした?」
「外した~」
「・・・・・皆に内緒にしてるんじゃないのか?」
「ムスイは最初から気づいてたでしょ」

気づいていたことに気づいていたのか。意外と勘の鋭い奴だ。

「モコモコにはバレてなかったんじゃないのか?」
「モコモコちゃんはバレても大丈夫なの」

何がどう大丈夫なのかはわからないが、とにかく大丈夫らしい。

「・・・・・シュートにもバレているのか?」
「シュートは気づいてないよ」
「そうなのか?」
「うん、知ってるのはムスイとモコモコちゃんだけ」

10年以上は一緒に過ごしてただろうに。シュートも意外と抜けてるな。

「で、シュートはまだ外で修行しているのか。あいつも真面目だな。」
「シュートは努力家だからね」

時々、時間を忘れて修行している。ま~、そのうち帰ってくるだろう。

「準備できたよ。食べようか」

今日の晩御飯はシュートがいない3人の食卓となった。

「いただきます」✕3

食べながら私はサクヤに聞いてみる。

「一応確認するが、お前って何歳なんだ?」
「・・・・・15歳」
「・・・・・それって本当の年齢なのか?」
「・・・・・本当の年齢」

その身長で15歳なのか・・・・・。モコモコも少し動揺したが、平静を装っている。

この話題はやめておこう。

「明日、お前たち、町のギルドに行くことになってるだろ? 魔物や魔族って結構いるものなのか?」
「魔族に出会ったことは無いね。魔物も時々だよ。そんなに強くない奴が時々こっち方面までやってくるから、それを倒すだけ。」
「魔物ってどれくらい強いんだ?」
「熊くらいかな」
「結構強いんだな」
「紛れ込んでくる奴は1体ずつくらいとしか出くわさないから。集団で来られたらヤバイけど」

紛れ込んでくる程度とはいえ、魔物がこっちに来ることもあるのか。この村もこのままではいかんな~。村を要塞化したり、村人皆に戦闘訓練とかやった方が良さそうだな。

(トコトコトコ・・・・・)

足音が聞こえる。シュートが帰ってきたようだ。

(バタバタバタ!)
服を着る!
胸を作る!
身長を高くする!

サクヤは定位置に座った。

「ただいま、遅くなってしまった」

シュートが帰ってきた。

「おかえり~」✕2
「おかえりなさい、お風呂湧いてるよ」
「ありがとう、入ってくる」

シュートは風呂へと向かう。

「そうだ、明日私も町にいくから、魔法を強化する方法でもしらべてくるよ」
「うん、よろしく、私は夜の散歩に行ってくる」

そう言ってサクヤは出かけた。

「シュートの食器は私が洗っとくから、モコモコは家に帰っていいよ」
「うん、それじゃあお願い。おやすみなさい」
「おやすみ~」

そういってモコモコは家に帰っていった。

モコモコと婚約して村を出るのは初めてだな~・・・・・。そんなことを考えながら、私は碁ワールドの本の続きを読み始めた。

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あとがき

(25/01/05)みなさんこんちちは、ムスイです。

前時代的だと思われるかもしれませんが、この作品では「家事全般は女がやる」が基本です。その代わり、きつい仕事、危険な仕事は男が請け負っています。ま~、きつい仕事のほとんどをムスイとシュートがやっているような気もしますが。

とは言っても、お昼も晩御飯も「碁会所」に集まって女性陣皆でつくっていますので、さほど負担はありません。洗濯や裁縫もペチャクチャおしゃべりしながら楽しんでやっていますので、それほど負担でもありません。

なお、一人暮らしのダイゴロウさんは「料理」「裁縫」「洗濯」などもやってもらっているため、不便はありません。