■幼馴染のモコモコと結婚!?
その日、私はモコモコ家から食事の招待を受けた。
食事の招待を受けることはよくある。
大抵は「●●してほしい」というお願い事だ。
ま~、別に御馳走してもらわなくてもやるんだけどね。
皆さん、それなりに律儀なところがあるようで。
私は戸をコンコンと叩いた。
「こんにちは~。
招待を受けました、ムスイです~」
すると、扉があけられた。
おじいさん、おばあさん、モコモコの3人が
待ち構えているかのように出迎えてくれた。
さすがにちょっとビックリだ。
「食事の招待、ありがとうございます」
「よく来てくれたね、ムスイ君。待っていたよ。
ささ、あがってくれ」
「は、はい。お邪魔します~」
そう言って、私は家に入った。
しかし、なんだかモコモコのようすがおかしい。
今日はいつになくよそよそしいような・・・・・。
私は奥の部屋に案内された。
テーブルの上にはビックリするくらい豪華な食事が並んでいる。
これだけ豪華だと、さすがにビビる。
一体何事なのだろうか!?
「おおお・・・・・、凄い料理ですね」
「ささ、ムスイ君。ここに座ってくれ」
「あ、はい。では」
何やらいつも以上に丁重にもてなされている。
私を含め4人は席に着いた。
そして、料理をいただくことになった。
だが、その前に言っておかなければいけないことがある。
「あの、私は頼まれごとは何でもしますので
別にこんなに豪華なものは出さなくていいんですよ?
ここまでしていただくと、なんだか申し訳ないと言いますか・・・・・」
「今日は特別な理由があってね」
「特別な理由?」
「まぁ、話はあとで、どうか食べてくれ。
モコがムスイ君の為にって頑張って作ったんだよ」
「え? モコモコが作ったんですか!」
私はモコモコをチラリと見る。
モコモコはおばあさんの後ろに隠れた。
どうして今日はそんなに恥ずかしがる!?
よくわからんが、とにかくモコモコの料理をいただくことにした。
「では、いただきます!
ハムハム、ムシャムシャ」
「味はどうかね?」
「メチャクチャ美味しいですよ。
いや~、モコモコは料理が上手いですね~」
「そうか、それはよかった!」
おじいさんとおばあさんはとてもにこやかだ。
モコモコは隠れてしまってよくわからない。
「モコは立派な嫁さんになると思わないかい?」
「思います。思います。モコモコは立派な嫁さんになれますよ」
「そうかそうか」
おじいさんはにこやかに、自然な流れで、思いがけないことを言ってきた。
「それじゃあ、モコを貰ってやってくれんかね?」
「・・・・・え?」
貰ってやってくれんかねって・・・・・。
「そ、それって、もしかして・・・・・」
「ああ、モコと結婚してほしいんじゃよ
モコとムスイ君ならとてもお似合いだと思うんじゃがの~」
「け、結婚・・・・・ですか・・・・・」
い、いかん・・・・・。
予想していなかった言葉で、頭が追いつかない。
モコモコはガタリと立ち上がり、おばあさんの後ろに隠れた。
そして、チラリ、チラリと私の方を見て、顔を赤らめている。
「え、えと、私とモコモコはまだ若い、ような・・・・・」
「2人とも後1ヶ月もすれば18歳になる。
結婚できる年齢じゃ。
決して早すぎるということは無いと思うのじゃが」
そ、そうか。
モコモコはもう18歳になるのか。
まだ子供だと思っていたが、月日の流れとは早いものだ。
あの小さかったモコモコが大人の女性に成長していたとは。
子供の成長とはこんなにも早いものなのだな~。
私はまたチラリとモコモコの方を見た。
モコモコはおばあさんにしがみつき激しく動揺している。
「・・・・・(汗汗」
この分だと、モコモコはOKだということなのだろう。
「なるほど・・・・・モコモコと結婚ですか・・・・・
と、とても素晴らしい話だと思いますです、はい」
「そうじゃろう、そうじゃろう」
おじいさんとおばあさんはとても嬉しそうだ。
私は動揺し、汗が止まらない。
考えてみると、私はリアル22歳で結婚はしていなかった。
異世界で約18年、忙しく過ごしてきた。
実質40年生きてきたことになるが
結婚など考える余裕など全くなかった。
自分が結婚するだなんて、考えたことも無かったのだ。
今、私はモコモコを意識し、
心臓は激しく脈打っていた・・・・・。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
私はモコモコが小さな幼女だったころから知っている。
近くでウロチョロしているだけの子供だとばかり考えていたが
私とモコモコはもうすぐ18歳になる。
あんなに小さかったモコモコも、今では立派な娘さんということか。
子供の成長がこんなにもはやいものだったとは・・・・・。
そんなことを考えていると・・・・・なんだか私も恥ずかしくなってきた。
前の世界では23歳で死んでしまった。
彼女いない歴、年齢だった。
こちらの世界で17年。私は約40年生きてきたことになる。
結婚・・・・・、そう、結婚なのか・・・・・!!
モコモコは私のことを愛してくれているという。
そう考えると、モコモコがなんだか特別な存在であるように感じた。