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【モコモコ道】人族は魔王に勝てない

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■魔王に勝てるはずがない

私と魔王さんは、シュートくんとサクヤちゃんを閉じ込めている球体の前に立つ。

「それじゃあ、2人を出すよ」
「はい、お願いします」

魔王さんは空中にあった球体を地面に下ろした。
そして、球体が割れ、中にいたシュート君とサクヤちゃんが出てきた。

「あ、出られた」
「サクヤ、大丈夫か?」
「う、うん。あ、モコモコちゃん、その人は誰?」
「え? こ、この人は・・・・・」

私の隣に立っている魔王さん。
さっきまでは「スライム」の姿だったため
シュートくんとサクヤちゃんには誰なのかわからない。
なんて説明すればいいんだろう。

「さっきまで君たちと戦っていた魔王だよ」

魔王さんが答えてくれた。
だけど、その台詞は・・・・・。

「ええ!!」
「クッ!!」

2人は身構える。

「ちょっと待って! 大丈夫、もう戦闘は終わったから!」

慌てて説明する私を遮り、魔王さんが説明してくれた。

「さっき私とモコモコの2人で話し合いをしてね。
 これ以上戦わないことにしたんだよ」
「う、うん! そうなのよ! だから武器をしまって!」

シュートくんとサクヤちゃんは顔を見合わせる。
そして、武器を下ろした。

「どのみち戦っても勝ち目は無さそうだったしな。
 だけど、モコモコさん、どうしてそう言うことになったんですか?」
「それは・・・・・」

どう説明すればいいんだろう。
私は助け舟を出してもらいたく、魔王さんの方を見る。

「ここでは何だし、とりあえず場所を変えよう。
 こっちに来てくれ」

そう言って、魔王さんは私たちを奥に案内した。

通路を歩いている時、魔王さんは一人、語りだした。

「剣士シュート、18歳、レベル112、
 魔法使いサクヤ、18歳、レベル119、
 弓使いモコモコ、19歳、レベル101、聖女レベル89でもある」
「すごい、そこまで詳しく知ってるんだ」
「3000年も生きていると色々なことができるようになるんだ。
 ちなみに私は魔王レベル4700だ」
「よ、4700・・・・・」

あまりの数値にシュートくんとサクヤちゃんが驚き、立ち止まる。
そんな2人に、魔王さんは振り返り、笑いながらこういう。

「戦っている時、まったく勝てる気しなかったろう?
 あの時はレベル300くらいで戦っていたんだ。
 本気を出していたら、お前たち、ショックで死んでるぞ。
 人族はどうあがいても、魔王に勝つことはできない。
 人族程度の力で魔王に勝負を挑むこと自体が間違いなんだ。
 さぁ、こっちだ」

「あ、ああ・・・・・」

私たちは魔王さんについていった。

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