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【モコモコ道】神様の涙~後編~

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■ミライには人は化け物に見える
人を愛せない、モコモコを母親と思えない

「お父さんにはお母さんが人に見えないんだよね?」
「ああ、柴犬のように見えていたな」
「どうして愛することができたの?
私にはお母さんも、村の人たちもバケモノに見えてた
みんな優しかったから言わなかったんだけど」
「そうだったのか。
いや、お父さんがそうだったのだから
考えてみれば予想できることだったな。
すまない、ミライ」
「お父さんだけが私と同じだった
だから、私はお父さんが大好きだった
私が好きだったのはお母さんじゃない、お父さんだったのよ
お父さんがそばにいてくれればそれでよかった
だけど、お父さんは村から出て行った
私の周りは、とても優しいバケモノだけになってしまったのよ」

■魔王様が3000年前に3人を用意した

モコモコとシュート、サクヤの3人がやっていたのには驚いたよ。
見た目だけでなく、名前も同じだったからね。
こんなことができるのは『魔王様』くらいしかいない。
まったく、人知を超えた存在だよ。
それで、魔王様は?

魔王様と女神様は3000年前、私が紙になった後すぐに別の世界に生きました

そうか・・・・・3000年前にこうなることを仕組んでいたということか。

■モコモコの死因

モコモコは魔族の攻撃を受け、毒を受けてしまった
傷ついたモコモコを見て、ムスイは怒り、覚醒し、魔族を倒す
ムスイの知識をもってしても、解毒することができなかった
苦しむモコモコを見て、ムスイは腹を斬って死のうとする、もできず
18歳になっても死ぬことは無かった
ムスイは、自分が人を超え神になったことを感じ取る

1年後、痩せ細ったモコモコが「赤ちゃんが欲しい」と言い出す
ムスイはそれを望まなかったが、モコモコの覚悟を感じ取った

■ムスイの覚醒と、モコモコの死
モコモコは魔族の魔法攻撃を受ける、毒が含まれていた
ムスイは怒り、魔族を倒す、その時に覚醒しレベルが大幅に上がった
モコモコを看病するも、治らない、
毒に対応する方法を調べるが医者もわからない
ムスイは自害するも死ねない、自分が紙になったことを自覚する

モコモコは自分が助からないと自覚する
18歳になり「赤ちゃんが欲しい」と言い出す
ムスイはためらうも、モコモコの真意は理解しているので断れない

■モコモコが死ぬ、ミライを置いて旅に

・敵の矢を薙ぎ払うムスイ、矢に「毒」が塗られていることに気づく
・「気を付けろ」というも、モコモコは矢を受けてしまう
・ムスイは怒り、覚醒した力で敵をせん滅

・覚醒したことにより、ムスイはレベル1000に到達⇒神に
・18を過ぎても死なない、ムスイはループの終わりを自覚する
・モコモコは「赤ちゃんが欲しい」と言い出す
・ムスイはためらうも、モコモコの決意を受け入れる

・一年後「ミライ」が産まれる
・モコモコはどんどん痩せ衰えていく
・ミライ3歳の時にモコモコ22は死んでしまう
・「ミライ、すまない、お父さんはお母さんの魂を探しに行く」
・ムスイはミライを置いてモコモコを探す旅に出る

■ミライはどのように生きてきたか
「神族である私は、人族とも魔族とも、恋することはなかった」
「異種族を愛し、私と言う子供を宿した父さんは本当にすごい」
「私を置いていったお父さんを憎んだ」
「だけど、誰よりもお母さんを愛したお父さんを立派だと思った」

ミライは塔の上から地上にいるモコモコを見つめる
「あれがお母さんの魂・・・・・とっても懐かしい魂だ・・・・・」
「お母さんに抱き着いておいで」
「お父さんは本当にわかっていないのね」
「ん? 何がだい?」
「私が大好きだったのはお父さんの方だったのよ。

■ムスイが未来を捨てた理由

私は怖かったんだ

ミライと生活し、ミライと幸せに生きるのが
モコモコを諦める自分が怖かったんだ
1%でも可能性があるなら、私はモコモコを選ぶ
すまない、ミライ

■モコモコをどうする?

「お母さんをどうするの?」
「スライム状の私の体内に入れれば、モコモコは永遠の命を維持することができる」
「お母さんをずっとお父さんの体の中に閉じ込めるの?」
「そうだ」
「・・・・・」
ミライは黙って外にいるモコモコを見つめる。
「神としては許せない行為か?」
「お父さんが出した結論だから、それを尊重する」

「・・・・・ずっと考えてきたんだ。
どうすればお母さんとずっと一緒にいられるかって。
私は永遠を生きられる。お母さんはそれができない。
お父さんはね、お母さんがいないと生きて行けないんだよ」
「・・・・・」
「この3000年は本当に辛かった。
お母さんを諦めるために、お父さんは自分の心を壊した。
そうすればお母さんのことを諦めることができると思った。
でも、それでもできなかった。
私にはどうしてもお母さんが必要だったんだよ。
だから、お母さんを永遠に生きられる方法を考えた。
私の肉体を液体にし、その中でお母さんを生きらせる。
そうすれば、お母さんは劣化しない。永遠に生きることができる。
完璧な答えだった。
その時は、完璧な答えだと思ったんだ」
「・・・・・」
「だけど、次第にそれが間違いだと気づいた。
私にとってそれは完璧な答えだけど、お母さんにとってはどうだろうか?
私の肉体の中にお母さんを閉じ込めて、それで幸せだと言えるだろうか?
それは、お母さんの魂を永遠に苦しめることになるのではないだろうか、と。
そうだね、私の考えは間違っていたんだよ」
「・・・・・」
「だけどね、だけど、私はその考えを止めることができなかった。
例えお母さんを地獄に落とす結果になったとしても、
私は考えをやめることができなかった。
そうしないと・・・・・、そうしないと、私は生きていけなかったんだ。
永遠の絶望を埋める方法がなかったんだ
それ以外に私の心に開いた穴を埋める方法がなかったからだ
いつか、モコモコと永遠の時間を過ごすことができる、そんな未来が訪れる
そう信じなければ私は生きてはいけなかったんだ
例えそれがモコモコを不幸にするとわかっていたとしても」
「・・・・・」
「そして、私の眼のまえにモコモコの魂が現れた。
だから、私は、実行にうつさなければいけない
もう、止められないんだ」

■この世界の神はお父さんがなるべきだった

ミライは窓際に歩いて行った。
そして、外で花を見ているモコモコを見る。

「こうしてみると、確かにあの人はお母さんだ」
「ああ、私が言うんだ、間違いない」
「でもね、魂が同じと言うだけで、あの人はお母さんではない。肉体も違う。過去の記憶もない。ただ、魂が同じと言うだけの別人になっている」

「本当はお父さんがこの世界の神になるべきだったのよ
私よりもお父さんの方が神にふさわしかったのよ」

「お父さん、私もいずれは魔王になるから、その時は一緒に暮らそう
ずっと、ずっと一緒に暮らそう」
そう言って、ミライは泣き崩れた。
「お前は立派な神様だろう。神として最後まで生き抜きなさい」

話しが終わったようで、神様と魔王様が外に出てきた。
私は二人の元へとかけよる。
「お待たせしました」
「い、いえ」
「ムスイさん、今からアンス村に向かうのですか?」
「はい、そのつもりです」
今、「ムスイさん」って言った?
それじゃあ、魔王様の名前はムスイって言うんだ。
「では、お気をつけて、モコモコさん、こちらへ」
「は、はい!」
「ムスイさんを、よろしくお願いしますね」
そう言って、神様は私を抱きしめた。
何だろう、とても懐かしいようなこの感覚は・・・・・

神様は私から離れる。
「それじゃ」
そういうと、魔王様は私の手を引いて前に進む。
私は神様と離れたくなくて振り返ると、神様は悲しそうな目で私と魔王様を見ていた。

■父さんには「過去」が無い
いや、語り合う過去が無いんだ
語り合う相手もいない
「私がいるわ」
父さんは母さん抜きでは生きて行けないんだ
母さんがいない未来はありえない。
だから、父さんには過去が無いんだよ。

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